診療案内 Medical

はなの症状

くしゃみ、鼻水、鼻づまり
アレルギー性鼻炎(花粉症)が代表的な病気です。血管運動性鼻炎との区別が必要になるので、鼻水中の好酸球の有無を行い、それらの区別を行います。アレルギー性鼻炎(花粉症)では、患者さんの希望があれば、スギ、ヒノキ、ハウスダスト、ダニ、犬、猫などの原因を調べることができます。
かぜの場合も、同様の症状を起こしますが、かぜはのど痛、咳、発熱などを伴う場合が多く、症状も数日で改善するので、その区別は容易です。
鼻づまりの単独の症状であれば、内視鏡で鼻内の観察が必要です。鼻茸(鼻ポリープ)、鼻腔腫瘍、鼻中隔弯曲症のチェックを行います。
鼻が痛い
鼻の入り口の痛みであれば、鼻前庭炎(鼻毛がはえている部位)が最も多く、鼻の奥の痛みであれば、鼻炎、副鼻腔炎(細菌やカビによる)、鼻腔腫瘍、三叉神経痛、鼻腔内の形態異常を考えます。レントゲン、内視鏡での鼻内の観察が大事です。投薬で症状が改善しないときは、CTによる検査をすすめます。涙目を伴う場合は、鼻涙管の炎症が考えれるので、眼科の紹介を考えます。
鼻がかゆい
鼻前庭炎(鼻毛がはえている部位)、アレルギー性鼻炎が考えられます。
鼻がくさい
感冒後の鼻炎が多いですが、細菌が二次的に感染したり、カビが繁殖していることもあります。稀ですが、鼻腔内に腫瘍ができていることもあります。特に、鼻水に血がつく場合は早めに鼻内を内視鏡で観察すべきです。
においがない(低下した)
感冒、鼻茸(鼻ポリープ)や慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、外傷によるものが原因として考えられます。詳細な問診が大事ですが、鼻内の観察と画像検査も必要となります。それらの原因により、治療は異なってきます。嗅覚の低下が、パーキンソン病やアルツハイマー病の早期診断につながることがあるとの報告もあります。
鼻から血が出る
大部分の鼻血は、キーセルバッハ部位(鼻の入り口から約1㎝後方)からの出血です。もともと、血管が密集している部位で、その血管がもろくなり、突発的あるいは、物理的刺激(鼻をほじるなど)により出血します。鼻茸(鼻ポリープ)や鼻腔腫瘍のチェックのために内視鏡で鼻内の観察を行うこともあります。白血病や血友病による鼻血は、非常に稀ですが、止血までに時間がかかる場合は、白血病や血友病を調べるため血液検査を行います。

はなの病気

鼻出血症
鼻の入り口から奥に1㎝入った部位(キーセルバッハ部位)からの出血がほとんどです。その部位は血流が豊富で出血しやすい所です。落ち着いて、鼻の入り口から上の柔らかい外鼻(鼻翼)をつまむようにはさみ、圧迫します。少なくとも、10分くらいはそのまま圧迫し、下をむいて座って安静にしましょう。のどに流れることもありますが、飲み込まずに口から出しましょう。ほとんどの鼻出血はそれで止血します。
子供さんは、鼻がかゆくて、鼻をいじって血が出ることが多く、アレルギー性鼻炎がかゆみの原因になることがあります。その場合は、アレルギー性鼻炎の治療が必要です。鼻出血を繰り返す場合や、止血に何十分も必要とする場合は耳鼻咽喉科の受診が必要です。頻度は少ないですが、鼻の中にできものがあることや、血液の病気が潜んでいることもあります。治療は、止血剤の内服、出血点が見つかれば電気凝固を行います。
アレルギー性鼻炎(花粉症)

鼻水(水のような)、くしゃみ、鼻づまりを主症状とする病気です。なんらかの抗原が鼻に入って、それに対して鼻粘膜が過剰に反応する病態です。症状が年中みられる通年性アレルギー性鼻炎と、季節的に症状がみられる季節性アレルギー性鼻炎に分けられます。治療は、抗アレルギー剤の内服、点鼻薬が中心になります。内服薬、点鼻薬は鼻症状がピークに悪くなってからでは効果が不十分になるため、症状が出現する早期に使用開始をおすすめします。最近、スギ花粉とダニのアレルギー体質を改善する治療として、舌下免疫療法も開発されました。
また、抗原(鼻症状の原因)が鼻に入らないようにすることも重要です。具体的に、鼻アレルギー診療ガイドラインで、以下のような花粉の回避をすすめています。

  1. 花粉情報に注意する。
  2. 花粉飛散の多いときは外出を控える。外出時は、マスク、眼鏡を使用する。
  3. 表面が毛羽立った毛織物などのコートの使用は控える。
  4. 帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがい、鼻をかむ。
  5. 花粉飛散の多い日は、戸を閉めておく。換気の窓は小さく開け、短時間に。
  6. 花粉飛散の多い日は、布団や洗濯物の外干しは避ける。
  7. 掃除を励行する。
血管運動性鼻炎
アレルギー性鼻炎と症状がよく似ていて、区別が必要です。水のような鼻水は同じですが、血管運動性鼻炎は、眼の症状はありません。自律神経機能の障害が原因です。朝おきてからの鼻水の出現、外気温の変化によっても症状がでることが多いです。治療は、点鼻薬が中心となります。
急性鼻炎(感冒)
感冒(かぜ)の症状として、鼻水、鼻づまりをきたす病気です。原因の約8割は、ライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルスです。初期は、水のような鼻水で、数日後に黄色い鼻水に変わることが多いです。鼻の症状以外にも、咽頭痛、発熱、頭痛、咳、全身倦怠感といった全身症状を伴うことがあります。治療は、安静が第一です。実際は、仕事が休めないなど症状を抑えたい患者さんがほとんどですので、対症療法(鼻水、咽頭痛、咳、発熱をおさえる薬を処方)を行います。免疫力が低下するので、細菌感染を二次的によく起こす、高齢者では抗菌剤(細菌を殺す薬)を処方することもあります。
ちくのう症(慢性副鼻腔炎)
鼻のまわりに空気の入った部屋が存在し(副鼻腔)、その部屋に炎症が生じた病気を副鼻腔炎といいます。いわゆる、ちくのう症とは、慢性副鼻腔炎のことを示し、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽といった症状が3ヶ月以上続くものと定義されています。治療は、急性期の治療の後に、マクロライド少量長期治療を2~3ヶ月行います。鼻茸(鼻ポリープ)を合併している場合は、薬の治療効果が乏しいので手術をすすめることが多いです。
急性副鼻腔炎
鼻のまわりに空気の入った部屋が存在し(副鼻腔)、その部屋に炎症が生じた病気を副鼻腔炎といいます。かぜの後に、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽といった症状が出現することが多く、症状の持続は1ヶ月以内です。ちくのう症(慢性副鼻腔炎)とは区別されるべき病気で、ほとんどの場合、抗菌剤(細菌を殺す薬)を2週間投与すれば、症状は改善されます。よって、薬を2~3ヶ月続ける必要はありません。
鼻前庭炎
鼻前庭(鼻毛がはえている所)に炎症をきたした病気です。鼻毛を抜いたり、きたない手で鼻くそをほじることが原因と思われます。軟膏を塗布することで良くなりますが、抗菌剤(細菌を殺す薬)を内服することもあります。
嗅覚障害
においが低下した、あるいは全くしなくなった状態です。
わかりやすく分類すると、鼻の病気が原因でにおいが悪くなる場合(かぜ、副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻茸など)と、頭の病気でにおいが悪くなる場合(頭部外傷など)に分けられます。かぜや頭部の外傷の有無といった既往がないかをチェックします。また、鼻の病気が潜んでいないかを調べるために、アレルギーの検査、レントゲンやCTといった画像検査、内視鏡検査を行います。鼻の病気がみつかれば、その治療を行います。また、嗅覚障害に対しては、漢方薬(当帰芍薬散)、ビタミン剤、代謝改善剤の内服が中心となります。ステロイド点鼻を使用することもあります。においのリハビリテーションとして、においを意識的にかぐ(においがなくても)方法が治療効果に良いとの報告もあります。いずれの治療も、においの治療は数ヶ月後に回復することもあり、長期に経過観察する必要があります。
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