診療案内 Medical

みみの症状

耳が痛い
外耳炎、中耳炎が多いです。顕微鏡で耳の詳細な観察が必要です。その他、顎関節炎や耳の下のリンパ節炎の可能性もあります。稀ですが、咽頭炎からの放散痛、耳性帯状疱疹、耳下腺(唾液を作る場所)の病気も考えられます。
耳がつまる
耳あかがつまっていたり(耳垢栓塞)、外耳炎、中耳炎、耳管狭窄症、耳管開放症、メニエール病、低音障害型感音難聴(低い音だけが聞こえなくなる)、鼻咽腔腫瘍(鼻の奥の腫瘍)など多くの病気を考えなくてはなりません。顕微鏡で耳のチェックを行い、聴力検査、異常がなければ、耳だけでなく、ファイバースコープで鼻のチェックも必要になります。
きこえが悪い
耳あかがつまっていたり(耳垢栓塞)、外耳炎、中耳炎がないかを顕微鏡で耳の観察をします。それらの病気がなければ、突発性難聴、メニエール病、耳硬化症、心因性難聴、聴神経腫瘍、加齢に伴う難聴の区別をするために聴力検査を行います。また、薬剤(抗がん剤、抗菌剤、利尿剤、アスピリン、シルデナフィルクエン酸塩など)の副作用による難聴もあるので、内服薬のチェックも必要です。加齢に伴う難聴は、根本的な治療はありませんが(補聴器の使用を考えることがあります)、その特徴として、両側の難聴で、いつ悪くなったかわからない、徐々に進行、体温計のピッピッ音が聞こえないなどです。
耳鳴(キーン、ブーンなど)がする
耳鳴は放置して良いものと、治療が必要なものの区別が必要です。顕微鏡による耳の観察と聴力検査が中心となります。
多くは、難聴に伴う耳鳴です。突発性難聴、メニエール病、音響外傷、騒音性難聴、症候性難聴(高血圧、糖尿病、動脈硬化など)を考えていきます。稀に、聴神経腫瘍が原因のこともあります。外耳に異物が入って耳に音がすることもあります。
放置して良い耳鳴の代表的なものは、疲れ、ストレスによる一過性の耳鳴ですが、その音の特徴は、高い音が数秒間程度です。加齢に伴う耳鳴も多く認めます。その特徴としては、両側の高音域難聴を伴うことです。
耳鳴自体の治療だけでなく、耳鳴を悪化させる要因(ストレス、疲れ、肩・くびの凝り、睡眠障害、水分不足など)をできる限り少なくすることも重要です。
耳がかゆい
外耳炎(外耳道湿疹)が最も多くみられます。慢性中耳炎に伴う耳漏(みみだれ)もかゆみの原因となります。顕微鏡による耳の観察が重要です。外耳炎(外耳道湿疹)は、過度な耳掃除が原因のことがほとんどです。
耳からしるがでる
外耳炎(外耳道湿疹)、鼓膜炎、中耳炎が最も多く、粉瘤や先天性耳瘻孔がみつかることもあります。
話が聞きづらい(はっきり聞こえない)
耳あか(耳垢栓塞)のチェックがまず必要です。耳あかがなければ、中耳から内耳の検査(聴力検査)が必要になります。高齢の方は、ほとんどが加齢による難聴です。音は聞こえるが、はっきりと聞こえない(明瞭度が下がる)と訴えられます。中年の方で多いのは、突発性難聴、メニエール病、低音障害型感音難聴といった内耳性の病気です。若年の方では、遺伝性の難聴、心因性(ストレスなどによる)難聴も考慮します。
(乳幼児)耳をよくさわる
乳幼児は、症状を的確に症状を訴えることができないので、指を耳の穴に突っ込んだり、耳介を触ったりします。耳あか、外耳炎、中耳炎の有無をチェックします。
耳がはれる
外耳炎からの炎症の波及によるもの、リンパ節炎、粉瘤、外傷、耳介血腫、先天性耳瘻孔、丹毒を考えます。稀ですが、耳性帯状疱疹、耳介軟骨炎、急性乳突洞炎のこともあります。視診でほとんど、区別はできますが、ウイルス性、細菌性、自己免疫性の区別のため、採血が必要になることもあります。

みみの病気

耳あか(耳垢栓塞)
耳あかとは、外耳道上皮の落屑物や分泌腺からの分泌物です。通常は、外耳道から耳の入り口にむかって、自動的に運ばれます。しかし、柔らかい耳あかの人や、耳掃除をしすぎて、外耳道の自浄作用がなくなった人は、月に1~2回綿棒でやさしく耳掃除してください。耳あかを奥におしこんでしまう、耳が閉塞したような感じがする場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。
外耳炎(外耳道湿疹)
外耳道における皮膚の炎症病変です。接触性(耳掃除のやりすぎ)、細菌性、アレルギー性、耳漏によるものが考えられます。外来にて、耳の洗浄と、炎症をおさえる点耳薬や軟膏が治療の中心となります。耳掃除のやりすぎの患者さんには、耳掃除を我慢していただくことが重要です。場合によりますが、抗アレルギー剤の内服もしていただくこともあります。
中耳炎

急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎に分かれます。

急性中耳炎 主にかぜの後に併発し、経耳管感染により炎症が中耳に波及した病気です。痛み、発熱、難聴を来します。乳幼児期に多く、3歳までに約70%の子供が罹患するとされています。外耳道からの炎症の波及ではありません(例えば、汚い水が耳に入ったなど)。治療は、経口の抗菌剤(菌を殺す薬)が中心ですが、3歳以下の子供には、抗菌剤がききにくい細菌が増えてきています。
滲出性中耳炎 中耳に液体が貯留した病気です。痛みや発熱を伴わず、耳閉塞感や難聴の症状がでます。乳幼児、小児、老年者に多く、耳管(鼻と中耳をつなぐ道)機能不全が原因とされます。治療は、中耳の貯留液を経耳管的に排泄を促す薬を内服したり、難聴が困る場合や、2~3ヶ月改善しない場合は、鼓膜切開術を行います。さらに、反復する患者さんには、鼓膜換気チューブを留置することもあります。
慢性中耳炎 細菌感染の反復や耳管(鼻と中耳をつなぐ道)機能不全のため、中耳やその周囲の慢性炎症が持続する病気です。耳漏、難聴が主な症状です。成人以降に多く、子供の頃に中耳炎を放置していたことが原因と考えられます。治療は、経口あるいは点耳の抗菌剤が中心となりますが、通院が長くかかることも多く、反復することもあり、難聴などが進行する場合は早めに手術をすすめることもあります。
鼓膜穿孔
鼓膜に穴があいた状態です。穴の大きさで耳閉塞感から難聴をきたします。感染を伴うと耳漏が生じます。外傷(例えば、耳かきでついたとか、平手で耳をたたかれたなど)により一時的に生じた穴であれば、経口あるいは点耳の抗菌剤でほとんどが治ります。長期に穴があいている場合は、手術で穴をふさぐ方法もありますが、症状次第で治療を選択すればよいと考えます。
耳管狭窄症
耳管(鼻と中耳をつなぐ道)が開かず、中耳の換気ができない状態。耳閉塞感、難聴、自声強調(自分の声がひびく)が主な症状です。原因としては、アデノイド増殖症、上咽頭炎、上咽頭腫瘍、副鼻腔炎などです。治療は、外来で耳管通気を行ったり、炎症を抑える薬を処方します。
耳管開放症
耳管(鼻と中耳をつなぐ道)は普段、閉じており、嚥下などの行為により一時的に開放されます。耳管開放症とは、その名の通り、耳管が常に開放された状態のことを言います。耳管が開放された状態ですが、症状は耳閉塞感です。よって、この病気は、見逃されることが多いと思われます。その他、自声強調、呼吸音が聞こえたり、耳の不快感を訴えることがあります。その症状は、横になると改善することが特徴です。原因は、体重の減少、疲労、睡眠不足、女性ホルモン異常(妊娠、薬剤性なども)が考えられています。治療は、漢方薬が中心で、鼓膜に紙を貼ると症状が軽減することがあります。
耳ろう孔
耳前部に好発する先天性のろう孔です。ろう孔の皮下には、袋が存在し、袋に分泌液がたまり、時に感染をきたすことがあります。感染が重篤化するとろう孔周囲の皮膚が発赤、腫脹をきたします。ろう孔から分泌液がでるときは、早めに抗菌剤(細菌を殺す薬)を内服します。感染を繰り返す場合は、手術で袋を摘出することをすすめます。
耳介血腫
耳介に反復して強い力が加わり、耳介軟骨下に血腫がたまる病気。柔道、ラグビー、レスリングなどのスポーツ選手によく見られます。治療は、穿刺して血液を吸引します。しっかりと圧迫しないと、再発することが多いです。
低音障害型感音難聴
急に発症する難聴で、低音域(低い音)のみが障害されている病気です。若い女性に多く、ストレスが原因と考えられています。反復することも多いです。難聴の自覚より、むしろ耳閉塞感(耳にまくが張った感じ)を訴えられます。耳鳴も伴うことが多いです。治療は、ビタミン剤を中心とした薬を投与します。この病気を予防するためには、規則正しい生活と睡眠、十分に水分をとること、過労やストレスの回避が重要です。
突発性難聴
急に片方の耳が聞こえなくなったと患者さんは訴えられます。耳鳴り、めまいを来すこともあります。内耳(蝸牛)の障害ですが、原因はいまだわかっていません。原則として、繰り返すことはありません。治療は、ビタミン剤を中心とした薬ですが、難聴の程度によってはステロイドを使用します。治療を行っても、難聴がよくなる可能性は約6割程度です。症状の発症後、1ヶ月経過する難聴は治らないと言われており、早期の治療開始が望まれます。
騒音性難聴
一過性に大きな音が耳にはいることにより生じる急性騒音性難聴と、うるさい音に一定期間暴露されることによって生じる(騒音下での職業についている人、ヘッドホンやイヤフォンを使用している人)慢性騒音性難聴に分けられます。内耳の障害が原因です。急性の場合は、ステロイド、ビタミン剤などの内服治療を行います。慢性の場合は、聴力を改善させることは困難です。いかに予防するかが重要です。
加齢性難聴
個人差はありますが、加齢に伴い難聴が進行します。内耳の障害のほか、中枢機能(脳幹、大脳皮質)の低下が原因です。この病気の特徴としては、徐々に難聴が進行すること、左右差はないこと、高音域がきこえにくい(体温計のピッピッ音がきこえない)、多くは耳鳴りも伴うことがあげられます。こういった症状は、自分だけではないことを伝えて、安心していただくことが重要です。治療は困難です。日常生活に支障がある患者さんには、補聴器の装用をすすめます。
心因性難聴
こころの問題から生じる難聴で、6~12歳の子供に多く発症します。学校生活や家庭での問題をかかえている患者さんが大部分です。まずは、患者さんとご家族に「耳の病気ではないこと」、「実際は、聴力は良いこと」を説明し、自信を取り戻してもらうことが重要です。場合により、カウンセリングなどの心理療法や精神療法をうけてもらうために、心療内科に紹介することもあります。
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